2008年4月24日木曜日

カルロス・サンタナは唯一無二のラテンロックギタリスト



サンタナ「アミーゴ」

1975年のアルバム。やっぱりこのアルバムの「哀愁のヨーロッパ」が日本でのサンタナのイメージなんだろう。泣きのギター。もともとはラテン色の強い、パーカッションをバックバンドに従えた、それでいてブルースにきちんと根ざしたロックからスタートしたカルロス・サンタナは、「キャラバンサライ」などのアルバムでは、アフリカの砂漠をイメージするスピリチュアルなアルバムも発表していた。
しかし、この「アミーゴ」では、横尾忠則の東洋サイケデリックでスピリチュアルなアルバムジャケットがよくその内容を表しているように、非常にソウルフルで、集中力の高い演奏を聴かしてくれる。

「哀愁のヨーロッパ」での静かに語りかけるようなプレイから、グーッと盛り上げて最後の泣き叫ぶようなギタープレイはロックギタリストなら一度は弾いた経験があるだろうほど有名なプレイだ。
サンタナのインタビューを見たことがあるのだが、その中でサンタナは、
「ギタリストが世界中に100万人いるのか1億人いるのかは知らないが、その音を聴いただけで誰かわかるのは100人だけだ。音こそが個性なんだ。それは指紋と同じで一人ひとり違うものだけどそれを表現できるのは、世界で100人だけだ」と語っている。
この言葉どおり、サンタナの最も特徴的でオリジナルなものはやはりその“ギタートーン”だろう。近年の「スーパーナチュラル」や「オール・ザット・アイ・アム」などでも、畑違いのボーカルや曲想でも、ギタープレイを聴けばすぐにサンタナだとわかる。このギターの音色こそがサンタナのアイデンティテーなのだ。
また、ギタープレイのテクニックについても、
「速く弾いても誰もノッてくれない。特に女の子にはモテない。ゆっくり優しく、そしてリズミックに弾いてらるんだ。それからロングトーンで音を伸ばす。音を伸ばしている間に観客が興奮してくるのがわかるんだ」とも語っている。つまり、サンタナは確信犯なのだ。あのプレイはだからこそ、サンタナだけのものなのだ。

2008年4月14日月曜日

スティーヴィー・レイ・ヴォーン、テキサスのブルース魂は今も生きている



スティーヴィー・レイ・ヴォーン「テキサス・ハリケーン」

もっと早くに生まれてきて欲しかった人であった。(この微妙に過去形なところが哀しいな)
80年代、ロックの主役が、キーボードなどのデジタルな楽器にかわりつつあるところに、
デビッド・ボウイーのR&B色の濃いアルバム「レッツ・ダンス」で、ほとんど無名のギタリストが
リードギターで参加した。そのトーンはオシャレ系のスタジオミュージシャンや、派手な技をひけらかしていたロック系のギタリストとはおよそかけ離れた、音数の少ない、しかしすごくソウルフルなギタープレイだった。スティーヴィーが「POPの曲にどう弾けばわからなかったので、アルバート・キングのようにプレイした」と語っていたように、そのプレイは、今では主役のボウイを差し置いてこの曲の顔になっているように思う。

このあと、スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、自身のバンド「ダブルトラブル」とともに、メジャーから
テキサスフラッド」でデビューする。ファーストアルバムが、ブルースのカバーもあるシンプルな音ゆえの
迫力があったのに対して、このセカンド「テキサスハリケーン」では、曲そのものがカラフルで、かつその曲を演奏しきっているスティーヴィーの豪腕が最大の聴き所だ。
1曲めのインスト「スカットル・バッティン」の開放弦を多用したメインフレーズなど、ちょっと聴くだけでは、何とか弾けそうだが、実際はあのスピード感はなかなかすごいものがある。それをスティーヴィーは、ライブではパイプ吹かして、余裕で弾ききってるのだから、おそろしい。

そして、スティーヴィーはボウイのアルバムで聞かせたような音数の少ないギタープレイヤーではない。
ボロボロになったストラトキャスターに極太ゲージの弦(6弦はベースの1弦ぐらいあるそう)を張って、
チョーキングをバリバリして、ピッキングニュアンスの強い、抑揚のあるプレイをしている。
ジミ・ヘンドリックスの曲をカバーすることも多くて、このアルバムでも「ヴードーチャイル」をカバーしている。そのほかにも「リトルウィング」のカバーもあって、どれもオリジナルのジミに負けず劣らずの名演だと思うのは、私だけではないはずだ。

そのほかにも、ジャズへの造詣も深くて、このアルバムのラスト曲もジャジーな曲だし、モロにケニーバレルの曲のカバーもしている。

この男が、あと10年早く、シーンに登場してくれたら、私の迷う事なき最大のギターヒーローになっていただろう。この男のフォロワーになって、ブルースの世界にどっぷりつかり、音楽だけを見つめてミュージシャンを目指していたかもしれない。それぐらい、この男の音はギター弾きの魂を捕らえて離さないものがある。しかし、、、ホントにあっけなく死んでしまった。ライブ会場を移動中のヘリコプターの事故でなくなったんだ。1990年の8月かな。これは結構、応えました。この次日本に来たときは絶対に生で見ようと思ってたのに、結局、来日は1回だけかな?最後のスタジオアルバム「イン・ステップ」はまた、今度取り上げます。

2008年4月5日土曜日

スティーブ・ヴァイ、現代最高の究極のギタリスト像


スティーブ・ヴァイ 「パッション&ウォーフェア」

アルバムのジャケットが全てを物語っている。中央に立つスティーブ・ヴァイのまわりにはエンジェルが飛び交っているが足元には炎が立ち上がり、天国と地獄にまたがったギタリスト、スティーブ・ヴァイの右手からは光が、左手からは炎がマジックのように立ち上っている…。

このアルバムは1990年に出たアルバムだが、今聴いてもすでに18年も経っているとは思えないほど、最高にテクニカルで、エモーショナルかつヴァイ独特の語法による表現力に溢れている。
テクニック的には、タッピングや、スウィープピッキングやアーミング、超ド級の速弾き、7弦ギターの導入などなど、述べるべきポイントは多いのだが、何よりこの人のすばらしいところは、その表現力の高さだろう。
当然、個性的な節回しはあるのだが、この手のインストアルバムの成功の鍵は、曲のメロディーの良さである。そして、ギタリストの表現したい世界観がしっかりしているか、ということ。

この二つの点でスティーブ・ヴァイの「パッション&ウォーフェア」は名盤になり得たのだろう。
1曲目の「Liberty」から、伸びやかで希望に充ちたメロディーを高らかに歌いあげる。それからは、怒涛のヴァイ・ワールドの曲が次々と流れる。ヴァイのギターは中域の音をバリっとスーパーオーバードライブでブーストとさせた特徴的な音だ。そしてヴァイの感情を見事に表現している。

当然、スティーブ・ヴァイのアルバムの7曲目はパワーバラードに決まっている。
このアルバムの「for The Love of God」はヴァイの名演中の名演と言ってもいいだろう。
神々しいとまで、言っても過言ではないほどの高い精神性を感じるのは私だけではないだろう。
当時のインタビューでヴァイはこの曲をレコーディングする前に、精神的な部分を表現するために、
絶食をして、飢餓の状態に自分を置いて演奏したとのこと、天才はまさに恐るべし。

今では、この人の映像はネットでもDVDでも見ることは出来るのだが、(音楽誌ヤングギターの付録DVDでも見られるぞ)、レコーディングだけでなく、ライブでもあれほどのハイテクニックなギタープレイを見せてくれるのは、本当に奇跡であり、幸福であると思っている。