
スティーヴィー・レイ・ヴォーン「テキサス・ハリケーン」
もっと早くに生まれてきて欲しかった人であった。(この微妙に過去形なところが哀しいな)
80年代、ロックの主役が、キーボードなどのデジタルな楽器にかわりつつあるところに、
デビッド・ボウイーのR&B色の濃いアルバム「レッツ・ダンス」で、ほとんど無名のギタリストが
リードギターで参加した。そのトーンはオシャレ系のスタジオミュージシャンや、派手な技をひけらかしていたロック系のギタリストとはおよそかけ離れた、音数の少ない、しかしすごくソウルフルなギタープレイだった。スティーヴィーが「POPの曲にどう弾けばわからなかったので、アルバート・キングのようにプレイした」と語っていたように、そのプレイは、今では主役のボウイを差し置いてこの曲の顔になっているように思う。
このあと、スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、自身のバンド「ダブルトラブル」とともに、メジャーから
「テキサスフラッド」でデビューする。ファーストアルバムが、ブルースのカバーもあるシンプルな音ゆえの
迫力があったのに対して、このセカンド「テキサスハリケーン」では、曲そのものがカラフルで、かつその曲を演奏しきっているスティーヴィーの豪腕が最大の聴き所だ。
1曲めのインスト「スカットル・バッティン」の開放弦を多用したメインフレーズなど、ちょっと聴くだけでは、何とか弾けそうだが、実際はあのスピード感はなかなかすごいものがある。それをスティーヴィーは、ライブではパイプ吹かして、余裕で弾ききってるのだから、おそろしい。
そして、スティーヴィーはボウイのアルバムで聞かせたような音数の少ないギタープレイヤーではない。
ボロボロになったストラトキャスターに極太ゲージの弦(6弦はベースの1弦ぐらいあるそう)を張って、
チョーキングをバリバリして、ピッキングニュアンスの強い、抑揚のあるプレイをしている。
ジミ・ヘンドリックスの曲をカバーすることも多くて、このアルバムでも「ヴードーチャイル」をカバーしている。そのほかにも「リトルウィング」のカバーもあって、どれもオリジナルのジミに負けず劣らずの名演だと思うのは、私だけではないはずだ。
そのほかにも、ジャズへの造詣も深くて、このアルバムのラスト曲もジャジーな曲だし、モロにケニーバレルの曲のカバーもしている。
この男が、あと10年早く、シーンに登場してくれたら、私の迷う事なき最大のギターヒーローになっていただろう。この男のフォロワーになって、ブルースの世界にどっぷりつかり、音楽だけを見つめてミュージシャンを目指していたかもしれない。それぐらい、この男の音はギター弾きの魂を捕らえて離さないものがある。しかし、、、ホントにあっけなく死んでしまった。ライブ会場を移動中のヘリコプターの事故でなくなったんだ。1990年の8月かな。これは結構、応えました。この次日本に来たときは絶対に生で見ようと思ってたのに、結局、来日は1回だけかな?最後のスタジオアルバム「イン・ステップ」はまた、今度取り上げます。
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