2009年12月19日土曜日

スティーヴィー・レイ・ヴォーンのラストアルバム


スティーヴィー・レイ・ヴォーン 「イン・ステップ」

80年代にブルースを再度音楽のメインストリームに引っ張り上げたギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのラストアルバム。皆さんご存知のようにレイ・ヴォーンはこのアルバムを出したあと、エリック・クラプトンとのアメリカツアーの移動中にヘリコプターが墜落し亡くなっている。あまりに壮絶な死である。
レイ・ヴォーンの音楽はブルースにすべてを捧げられており、ジャジーな曲もあるけれどそれさえも、ブルースジャズの延長で、クールなジャズではなく、ジャズブルースというものだった。
自ら歌うことで、その姿はまさに80年代のジミ・ヘンドリックスでありながら、ジミよりもよりブルースに傾倒していた。アルバート・キングがおそらく基本なのだろうプレイスタイルと、異様に太い弦から弾き出されるフレーズは後に、たくさんのレイ・ヴォーン・フォロアーを生んだ。
このアルバムは、ドラッグで一時活動を中断していたあとに、クリーンになって録音したアルバムだ。
CROSS FIRE」あたりが、ライブでもよく取り上げられたいたが、やはりハイライトはラストのナンバー「RIVIELLA PARADISE」だろう。スティーヴィーが突然弾きだしたこの曲に、ドラムのクリス・レイトンは慌ててドラムセットに座り、演奏をしたそうだ。初めの数分はヘッドフォーンも聞こえず、勘で演奏していたそうだが、長年ライブをこなしているバンドだからこそできる技なんだろう。そしてまったくのアドリブにも関わらず、その構成力やフレーズの情感、実に心奪われる演奏がくり広げられる。そして厳かに曲が終わったあと、録音していたテープはほんのわずかばかりで1分もなかったそうだ。
まさに、偶然の奇跡のひとコマを記録した「レコーディング」そして、これが名曲の誕生する瞬間なのだと思う。ジャケットで下を向いているスティーヴィー・レイ・ヴォーン。せめて最後ぐらい明るく笑ってくれよ。